企画展

生誕100年記念 芹沢光治良展

1997年4月26日(土)~6月8日(日)

芹沢光治良(明治29~平成5、1896~1993)は、「良識ということを体現する作家、ということが実際にありうるなら、芹沢氏はまさにそういう人だった」(大江健三郎)と評価される昭和を代表する小説家です。経済学を学ぶためにフランスに留学し、スイスでの療養生活を経て帰国後の昭和5(1930)年、小説「ブルジョア」が「改造」懸賞小説の一等に輝き、日本の文壇にデビューしました。 その後は文学的流派から独立した作品を書き、昭和17年発表の女性の生き方をテーマにした「巴里に死す」はベストセラーとなり、海外でも翻訳紹介され大きな反響をよびました。戦後も自伝的大河小説「人間の運命」をはじめ旺盛な創作活動を展開しています。さらに、内外を問わず文学者仲間からの信頼が厚く、特に戦後の日本現代文学を世界に紹介することに尽力しています。 日本ペンクラブの副会長、会長を歴任、文学者による国際会議にしばしば参加し、日本での開催を成功に導きました。またノーベル文学賞の推薦委員も度々務めるなど、“国際的作家”と呼ぶのにふさわしい活躍を見せています。 芹沢光治良の歩みは、戦前戦後にわたり、小説家としても私生活でも、人間主義の姿勢に見事に貫かれたものでした。豊かな人間性への惜しみない評価がややもすると作家としての業績を覆いかねない程でしたが、生誕100年を機に改めてその文学を評価する気運が見られます。本展覧会では、芹沢文学の軌跡とグローバルなスケールを持つ文学者・芹沢光治良の姿を、原稿、初版本、書簡、愛用品などの貴重な資料約300点でご紹介いたします。 芹沢光治良は、戦後のPTA活動始動期に、世田谷区三宿の多聞小学校PTA会長として活躍しました。世界的な活動を支える広い見識と、身近な問題への細かな眼差しを併せ持った作家・芹沢光治良の一面もご紹介いたします。