企画展

池田満寿夫の世界 美術と文学の饗宴

1998年8月22日(土)~10月4日(日)

池田満寿夫は版画家として1960年代に東京国際版画ビエンナーレやベネチア・ビエンナーレ版画部門大賞などの国際的な評価を受ける一方、詩やエッセイで注目された文学的才能を昭和51(1976)年の小説「エーゲ海に捧ぐ」で開花させ、第77回芥川賞を受賞しています。以後、美術においては版画のほか書や陶芸、ブロンズなども手掛け、文学では大胆にエロスを主題に採り上げ、造形芸術家ならではの視点や感性を文章に表現した小説を次々発表し、エッセイでも幅広く人気を呼びました。また親しみのもてる人柄からファンも多く、昨年の3月の急逝に対して、各方面から才能を惜しむ哀悼の言葉が寄せられたのはまだ記憶に新しいところでしょう。 池田満寿夫は、版画家として評価を確立した時期、世田谷区松原のアトリエで制作しています。ここは澁澤龍彦や加藤郁乎、萩原葉子、森茉莉、富岡多恵子といった作家や詩人、芸術家との交流の場でもありました。また芥川賞受賞後の数年、岡本に住まいを持っていました。 本展は松原時代を含む初期の版画作品や本の宝石ともいわれる希少な自装手彩色の豆本、『エーゲ海に捧ぐ』装丁原画、詩画集、スケッチ、コラージュ、自筆原稿、メモ類、交友のあった作家への手紙など、貴重な作品と資料で池田満寿夫の美術と文学にわたる多彩な芸術世界をご紹介します。