企画展

沢木耕太郎の旅展

2001年2月24日(土)~4月8日(日)

デリーからロンドンまで乗合いバスで行こう――昭和49(1974)年、26歳の〈私〉は仕事のすべてを投げ出し、ザック一つでこの無謀とも言える旅に出ます。偶然に身を委ね、未知の異国を歩き、その先で出会う人々と思いもよらぬ出来事の数々。旅によって感じる自由と不安、期待と寂寥、内省と郷愁。やがて〈私〉は気づきます、「旅は人生に似ている」ということを……。
〈私〉こと、作家・沢木耕太郎氏が体験したこの旅は、10年を経て『深夜特急』として読者の前にあざやかに甦ります。単なる旅行体験記に留まらず、青春時代における「旅への希求」を描いたこの作品は、特に若い世代のバイブルと称され、大きな支持を得ています。
そして、浅沼社会党委員長を暗殺した少年山口二矢に新たな角度から迫った『テロルの決算』、スポーツという勝負の世界に生きる男たちの栄光と悲劇を描いた『敗れざる者たち』『一瞬の夏』『王の闇』『オリンピア ナチスの森で』、檀一雄未亡人の一人称話法に徹した『檀』など、鮮烈な感性と斬新な文体で書かれた作品群はノンフィクションの分野に新風を吹き込みます。さらに、昨年10月には初の小説『血の味』を発表し、作品世界に新境地を拓きました。
その「常に新しい方法を模索し続ける」という姿勢での仕事もまた、沢木耕太郎にとっての「旅」と言えます。
本展は『深夜特急』を中心とする沢木耕太郎氏の旅と仕事を、原稿・取材メモ・書簡と旅先で撮影した写真など約180点で紹介する初の試みです。世田谷に暮らし、そして出発し、さまざまな場所や人々に出会い、見、聞き、感じ、書く――今も途上にある「沢木耕太郎の旅」を可能な限りリアルに伝えることを目指します。