企画展

ムットーニのからくり書物

2007年2月17日(土)~4月8日(日)

書物の表紙、それは未知なる世界への入り口。
扉を開けば、新しい物語がひもとかれる――。

ある日のこと、ターンテーブルの上に粘土で作った人形をのせ、
しばらく見入っていた画家、武藤政彦は思った。
「人形がただ1回転するだけで、物語が成立するかもしれない……」と。
やがて絵から抜け出した人形たちは、精巧に仕掛けられた舞台装置のなかで、
きらびやかな光と音楽に合わせて物語を語りはじめた。

ムットーニ――それは画家の別名、または彼の作る“自動人形からくり箱”。
光や音とともに人形たちが織り成す数分間の幻想の舞台。

1956年横浜に生まれ、79年創形美術学校研究科を修了。
80年代半ばにヨーロッパ外遊。帰国後、油絵から“からくり箱”へと表現を移行させ、
“自動人形おはなし玉手箱”を考案し、特異な造形作家として注目される。
95年、世田谷文学館の開館にあわせ、小説を題材にした“からくり箱”を制作した。
作られたのは、萩原朔太郎「猫町」、海野十三「月世界探検記」、中島敦「山月記」。
文学作品とムットーニの初めての出会いである。

2007年、再びムットーニは、作家たちの書物を手に小説世界と向かい合う。
新たな物語が始まる。