企画展

久世光彦展 時を呼ぶ声

2009年9月19日(土)~11月29日(日)

「おかみさーん、時間ですよー!」のセリフが流行語にもなった銭湯が舞台のホームドラマ「時間ですよ」。マシンガンのようなギャグや派手なアクションを繰り出し、1970年代の国民的な人気番組となりました。演出家は久世光彦(くぜ・てるひこ 1935-2006 東玉川に居住)。その後も「寺内貫太郎一家」「悪魔のようなあいつ」「ムー」など、テレビドラマの定石を次々と打ち破る斬新な演出で一時代を築きます。
80年代以降は、映像制作会社の社長として向田邦子原作による「思い出トランプ」「女正月」「風を聴く日」などの名作を演出。休みなくドラマ制作に携わる一方、50歳を過ぎて小説・エッセイの分野にも本格的に取り組み、『蝶とヒットラー』(93年 Bunkamuraドゥ マゴ文学賞)、『一九三四年冬――乱歩』(94年 山本周五郎賞)、『聖なる春』(97年 芸術選奨文学部門文部大臣賞)、『蕭々館日録』(01年 泉鏡花文学賞)、など、郷愁に満ちた流麗な文章で読者を魅了しました。
本展は映像と文学の世界を自在に行き来し、舞台の演出、歌謡曲の作詞などの分野にも活躍の場を広げ、次世代に多大な影響を与えたクリエイター・久世光彦の業績をご紹介する初の企画展です。
彼が多彩な活動のなかで終生こだわり続けたもの、それは日本人にとっての心の原風景ともいうべきものでした。たとえば新しいランドセルを背負う子どもたちに降りかかる桜の花びら、金木犀香る六畳間でのひそやかな読書の悦楽、母たちの割烹着の鮮やかな白さなど、ささやかではあるけれどもかけがえのない何か…。そんな、誰もの記憶の底に眠る<こころの風景>に、きっとあなたも会場で出会えるはずです。
映像作品の上映、トーク、コンサートなどの関連イベントも多角的に展開いたします。
人々に多くの<こころの風景>を遺し、春まだ浅い日に突然逝ってから3年。