企画展

星新一展

2010年4月29日(木)~6月27日(日)

「ボッコちゃん」「おーい でてこーい」など、かつて子どもだった〈あなた〉が、心躍らせて読みふけった星新一の本。そして、おとなになった〈あなた〉から、未来へと手渡されていく星新一の本。幾世代にも愛され、読み継がれている作家、星新一とは、いったいどんなひとなのでしょうか。

星新一(本名:親一)は、星製薬創業者・星一の長男として東京・本郷に生まれました。明治時代にアメリカに留学し、一代で製薬会社を築き上げた父、森?外の妹で歌人の祖母・喜美子、わが国の人類学・解剖学のパイオニアであった祖父・小金井良精。彼らのもとで明治~大正の歴史を身近に見つめてきた星新一は、のちに自らのルーツを探るように、父と祖父の評伝を書き上げます。それは愛する家族へのレクイエムであり、星新一だけが書ける歴史の書であったといえるでしょう。

東京大学大学院(農学部)在学中、父の急逝により会社を受け継ぐものの、悪化していた経営状況により会社を手ばなしました。その後、執筆活動を本格的に開始し、日本SF文学の旗手として脚光を浴びることになります。
SF作家として意欲的に作品を書き続けた星新一は、「ショートショート」という、時代・風俗を特定せず、エッセンスを凝縮して読者の想像力を喚起させる独自のスタイルを確立し、前人未踏の1001話を達成します。

また星新一は、私たちが迎えている現代の社会を、まるで預言者のように鋭く描いている作家でもあります。現在のネット社会を予見するような過剰なまでの情報化社会、ヒトとロボットが共存する生活…。私たちが今、星新一を読むということは、現在を深く知り、その先の未来を想像しながら、五感をフルにはたらかせて作品と向き合うことではないでしょうか。
星新一とは、歴史と現在を見据え、未来をともに生き続けていく作家なのです。

本展は、没後10年以上を経てなおゆるぎない人気の星新一、初の展覧会です。自筆原稿や創作メモ、愛用品など約300点で、作家・星新一の素顔と、その作品世界を紹介します。星新一作品から発する大きなエネルギーを存分に受け取り、〈あなた〉の未来を描く力にしていただきたいと思います。