企画展

齋藤茂吉と『楡家の人びと』展

世田谷区制80周年

2012年10月6日(土)~12月2日(日)

近代短歌における巨人・齋藤茂吉。蔵王山系を望む山形県の農村に生まれた彼は、精神科医、病院長、歌人として東京で暮らしながらも、終生故郷の山河に想いを寄せ続けた東北人でした。第一歌集『赤光』の斬新、第二歌集『あらたま』の清新、そして晩年の『白き山』の絶唱へと、短歌という表現形式の可能性に懸けたその姿は、次男の小説家・北杜夫による自伝的大河小説で世田谷を主要な舞台とする『楡家の人びと』、評伝<茂吉四部作>に深い敬愛をもって描かれています。
本展は、生誕130 年を記念し、北杜夫の著作を通して、息子の眼がとらえた茂吉の波乱多い生涯と作品を展望するものです。明治から大正・昭和へと激変する社会情勢を背景に、時代の流れに翻弄されながらも懸命に生き抜いていく個性豊かな『楡家の人びと』の姿も視野に入れながら、この稀有な歌人の歩んだ<ひとすぢの道>をたどってまいります。
2011年10月、まことに残念なことに、展覧会の開催を誰よりも喜び楽しみにしてくださっていた北杜夫氏が亡くなられました。本展は、父茂吉の短歌によって文学に目覚め、偉大な父の死後、文学者として飛躍してゆく作家・北杜夫の足跡をあわせてご紹介し、追悼の意を捧げたいと思います。