土井章史さん(編集者)
長新太と出会う最初の3冊
2020年10月23日
土井章史(編集者)
1957年、広島県生まれ。編集プロダクション・トムズボックス代表。フリーの絵本編集者としてこれまでに300冊以上の絵本を企画編集。また絵本ワークショップ「あとさき塾」を小野明と運営し、新人の絵本作家を発掘、養成している。
この不思議なお話は、長さんならではかな、なんと年老いたノコギリザメがおばけに、いろいろからかわれるというか、遊ばれてしまうのですが、オバケはでも全然悪気がない。ここがミソですね。それでノコギリザメが涙を流します。海の中なのですがその涙は固まって救いになるのです。泣けますねー。
川に集うカモたちが、川の景色とあいまって烏合衆参していろいろな形になる。それを見ているボク、ただただ見ていることによって、ボクと絵本を見ている私たちがいつのまにか一体化され、長新太が描く叙情世界に引き込まれるのですね。美しい絵本です。
長新太は絵本作家であると同時に漫画家でもあるのです。漫画家としての長新太も決して忘れてはいけません。初期から晩年までの作品を網羅しています。起承転結の結が私たちは大切だと育てられてきましたが、このマンガは、オチがみつからない。でもおもしろい?なぜでしょうねえ。読んで見てください!