鈴木芳雄さん(編集者・美術ジャーナリスト)に聞いた編集に唸る写真集3冊

本と輪 この3冊

鈴木芳雄さん(編集者・美術ジャーナリスト)に聞いた

編集に唸る写真集3冊

2020年11月13日

鈴木芳雄(編集者・美術ジャーナリスト)

1958年、東京生まれ。「ポパイ」、「アンアン」などの編集部を経て、2001年から2010年まで「ブルータス」の副編集長を務める。同誌にて数多くのアート特集を担当。現在、明治学院大学非常勤講師。

1
『未来ちゃん』 川島小鳥

ブルータスの表紙になったり、この写真集が爆発的に売れたのでとても有名になってしまった佐渡ヶ島の女の子、未来ちゃん。川島さん撮影の写真はどれもいいし、デザイナー祖父江慎さんの仕事に唸らせられる1冊です。見開き(といってもこの本の場合は左右ではなく、横にして上下で見る)ごとに見せるのが写真集ですがその2ページずつの組み合わせに全部意味がある。たとえば、寄りと引き、動と静、人物と人形、見下ろしと見上げ、少しの時間のズレなど。1年間この少女に密着して撮影した膨大な写真を丹念に編み上げた編集力の1冊。

2
『Les Envols de JACQUES LARTIGUE et les débuts de l’aviation』 Jacques Lartigue

ラルティーグの写真集はいくつか持っているけれどその中でも大好きな1冊。グライダー遊びや模型飛行機、本格的なテスト飛行など大空を飛ぶことを夢見て、それを実践している様子の写真を集めています。1910年代の写真が中心。ということはラルティーグが10代の頃に撮った写真で、まさにそれは少年の夢だったのでしょう。彼のご先祖はある方式のモノレールの発明者でもあり、一家は飛行機だけでなくクルマやボートなど乗り物大好きで、その写真も多く残っているけれど、これは大空への憧れが純粋に伝わってくる名作写真集。

3
『POOLS』 Kelly Klein

ケリー・クラインはファッションフォトグラファーですがこの写真集は編集者的な役割を果たしたもの。そもそも自身でプールを設計しようとしたことをきっかけにプールの写真を集め、その結果、こんなすてきな写真集が誕生したそうです。1880年代から1990年代に撮影された屋内外のプールが掲載されています。ラグジュアリーリゾートのプールや富豪の邸宅のプールから芋を洗うような日本の遊園地のプールまで。スティーグリッツ、ラルティーグ、メイプルソープら有名写真家の作品も収録。プールは写真家たちにとっていつも魅力的な被写体です

(出典)ブックリスト「本と輪 この3冊」vol.1 2017.4

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だいたい金曜日の本

各分野でご活躍の皆さまに、世田谷文学館が用意したお題に対して、3冊の本を挙げていただきました。ロゴマークのデザインは、クラフト・エヴィング商會さんです。当館で不定期発行しているブックリスト「本と輪 この3冊」からのご紹介です。子ども向けの本から、洋書や哲学書まで、旅の本、食の本、写真集など幅広い分野から選んでいただきました。意外なテーマも出てきます。当館ライブラリー〈ほんとわ〉の雰囲気を、ホームページでも味わっていただければと思います。だいたい毎週金曜日に更新していきますので、どうぞお楽しみに。

※選書の入手について:書籍により、なかには現在入手が難しいものもあります。文庫版や古書、図書館などでも探してみてください。

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