角田光代さん(作家)に聞いた子どもの頃の思い出の本3冊

本と輪 この3冊

角田光代さん(作家)に聞いた

子どもの頃の思い出の本3冊

©垂見健吾

2020年10月2日

角田光代(作家)

1967年、神奈川県生まれ。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞し、作家デビュー。1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、2005年『対岸の彼女』で直木賞を受賞するなど、数多くの文学賞を受賞。

1
『ちいさいモモちゃん』 松谷みよ子

この本に出合ったときの私は6歳だった。モモちゃんは生まれたばかりで、まだカレーライスが食べられなかったけれど、どんどん大きくなって保育園にいき、小学校にいく。私もモモちゃんといっしょに成長した。モモちゃんの見る、この世ならざるもの、大人の目には見えないものは、私の目にも見えていた。だからこのシリーズは、私にとってスーパーリアリズム小説だ。モモちゃんといっしょに大人になれたことを私はとてもうれしく思っている。

2
『いやいやえん』 中川李枝子

モモちゃんが大好きな友だちだとしたら、『いやいやえん』のしげるは大嫌いな男の子だった。なんでこの子はこんなにわがままなんだろうと思っていた。それでも私はこの物語が大好きで、幾度もくり返し読み、それでは飽き足らず、すべてのページに自分の絵を描いた。私もいやいやえんに通いたかったのだ。しげるを嫌いだと思ったのは、彼がうらやましかったからだろう。

3
『長くつ下のピッピ』 アストリッド・リンドグレーン

ピッピは、私の友だちのなかでもっとも破天荒で勇敢な女の子だった。ピッピといっしょに羽目を外すことに私は夢中になっていた。大人になってピッピを読み返し、私は、あのころの自分が今の自分に成長したことに深く納得した。高級志向もブランド趣味もなく、公的な場が苦手で、充分大人なのに大人っぽいことが小っ恥ずかしく、本当のことがきっとどこかにあるとこの年齢になっても信じている、そんな大人になった種は、ピッピの物語の中にすでにあると知ったのである。

(出典)ブックリスト「本と輪 この3冊」vol.1 2017.4

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だいたい金曜日の本

各分野でご活躍の皆さまに、世田谷文学館が用意したお題に対して、3冊の本を挙げていただきました。ロゴマークのデザインは、クラフト・エヴィング商會さんです。当館で不定期発行しているブックリスト「本と輪 この3冊」からのご紹介です。子ども向けの本から、洋書や哲学書まで、旅の本、食の本、写真集など幅広い分野から選んでいただきました。意外なテーマも出てきます。当館ライブラリー〈ほんとわ〉の雰囲気を、ホームページでも味わっていただければと思います。だいたい毎週金曜日に更新していきますので、どうぞお楽しみに。

※選書の入手について:書籍により、なかには現在入手が難しいものもあります。文庫版や古書、図書館などでも探してみてください。

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